「残業代は1分単位でもらえる」など 労働者が知っておきたい法律の知識
労働基準法を中心とした労働法について、労働者が全ての内容を把握しておくことは中々難しいでしょう。
そこで今回は労働法の中から、質問が寄せられることが多いポイントや毎日の仕事の中で直面する身近な問題、知っておいた方がよい豆知識をピックアップして解説します。
法律の知識を持っていれば全てが解決するわけでは無いのですが、知っておいて損はないはずです。
残業時間・労働時間・休憩時間
残業時間と残業代
残業時間を15分単位や30分単位、場合によっては1時間単位で切り捨てている会社も多いと思いますが、実際には1日の残業代は1分単位で計算する必要があります。残業時間の切り捨て(切り上げ)が認められるのは一ヶ月単位で残業時間を計算する場合だけです。
さらに詳しく知りたい方はこちら
⇒ 残業代・残業時間について
深夜労働について
深夜時間帯(午後10時~午前5時)に働いた場合は割増賃金(25%増)の対象になります。割増賃金はフレックスタイム制や裁量労働制の場合にもあてはまります。また、深夜時間帯には18歳未満は働くことが出来ません。
休憩時間
休憩時間について押さえておきたいポイントをまとめました。
- 労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与えることが義務付けられています。
- 休憩時間は労働者が自由に使える必要があります。待機時間や手待時間は労働時間扱いです。休憩時間ではありません。
- 昼休みに留守番(電話対応など)を任された場合、この時間は休憩時間でなく業務時間の扱いになります。給与が発生しますし、別途休憩時間を与える必要があります。
さらに詳しく知りたい方はこちら
⇒ 休憩時間と休息時間、労働時間について労働基準法を基に解説
フレックスタイム制
フレックスタイム制について押さえておきたいポイントをまとめました。
- 始業時間、終業時間の両方を自由に設定出来ます。
- フレックスタイム制であっても休憩時間は社員に一斉に与える必要があります。(例外あり)
- 特定の日(会議など)だけであっても始業時間の指定をすることは出来ません。
- 深夜時間帯に働いた場合は割増賃金の対象となります。
- 混同する方もいますが、フレックスタイム制と裁量労働制は根本的に異なる制度です。
有給休暇
有給休暇のことを正確には「年次有給休暇」と呼びます。以下の2点を満たしていれば、正社員だけでなくパート、アルバイトでも与えられます。
- 雇い入れの日から6か月経過していること
- その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
有給休暇は会社の承認が必要なものでなく、従業員に無条件で与えられるものです。会社が別の日に取得するように求めることが出来る「時季変更権」というものがありますが、単に忙しいからといった理由では「時季変更権」は認められません。
なお、1年で使いきれなかった有給休暇は翌年に繰り越すことが出来ますが、2年で時効となるので注意しましょう。
時間外労働協定(36協定)
労使協定において、時間外労働・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超える時間外労働、および法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定のことを時間外労働協定、通称「36(サブロク)協定」と呼んでいます。
「36協定」は労働時間の問題になると、よく登場する用語なので覚えておきましょう。
試用期間・研修期間の労働
試用期間中の労働について押さえておきたいポイントをまとめました。
- 「試用期間」、「研修期間」という用語については法令上の定義はありません。このため法令上は、試用期間の労働者であっても一般の労働者と同様に扱う必要があります。
- 雇入れから14日を超えると、通常の解雇と同じように30日前の解雇予告が必要になります。試用期間だからといって、いつでも解雇出来るわけではありません。
- 労働時間などの条件を満たせば、試用期間中でも雇用保険などの各種保険への加入義務が認められます。
- 試用期間中であっても、最低賃金を下回る給与の設定は出来ません(一部例外あり)。
⇒ 試用期間中の最低賃金の詳細はこちら
労働者の賠償について
雇用主が労働者と契約する場合に、不履行について違約金を定め損害賠償額を予定することは出来ません。つまりミスした場合の違約金などを事前に定めることは禁止されています。
退職・解雇について
やむを得ず解雇を行う場合には「30日前に予告を行うこと」もしくは「解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うこと」のいずれかが必要となります。
退職した場合は、すみやかに失業手当の受給手続きに入りましょう。退職した会社からは離職票を受け取っておく必要があります。
労働問題に関する相談
長時間労働、賃金不払残業などの労働基準法等における問題については、労働基準監督署や労働局に相談することが出来る他、開庁時間内の連絡が難しい人のためにメール窓口も用意してあります。